身体のメカニズム

1.置性系(landing system)=身体を支える土台となるシステム

○足・膝・股関節など重心バランスをとる踏ん張り系

置性系(landing system)における平衡バランスシステム

置性系の平衡バランスシステムには深部感覚(関節にあるセンサー)内耳(三半規管)小脳でのフィードバック・フィードフォワード機能があります。これは、神経系の伝達回路で、置性系である足・股関節が主に土台として働いています。この神経系の伝達速度はゆっくりではありますが基本的で重要なバランスシステムです。

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2.吊性系(sling system)=左右の重りを支点で支えるヤジロベエ式復元システム

○頚椎1番を支点とした下顎骨と頭蓋の重さ
○仙腸関節を支点とした両腕の重さ

吊性系(sling system)における平衝バランスシステム

下顎骨は、建築構造上の免疫機能を果たしながら、側頭筋に吊るされたブランコの状態で、かつ頭全体では頚椎1番を支点にバランスをとる、二重重力平衝調整構造をもっています。構造は、ヤジロベエ式の瞬時に復元するシステムであり、顎関節頚椎1番仙腸関節はあらゆる疾患に直接結びつくため、これらの場所は治療における最重要ポイントになります。

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人体は、この2つのシステムが互いに影響し合いながらバランスをとっています。足の構造は、支点である距腿関節が後方にあることで前方移動が有利になるようにできています。理想の立位姿勢とは、筋肉を使わない靭帯の張力によるバランス制御にあり、膝裏と股関節前面の靭帯、腰椎前面の前縦靭帯による張りで立ち、体の重心を前に少し腰を反り気味にして、足の指をわずかに踏ん張って立つのが理想です。現代人の足は、靴に圧迫され歩かなくなったため、膝・股関節・背中を曲げ顎を突き出すことで全体のバランスをとることになります。この状態では余分な筋肉の負担がかかり腰・肩・膝などに症状を出してしまいます。

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治療は、足趾の腱を刺激し機能を高め、下肢を支える筋力や靭帯の緊張をリリースすることで土台を整え、骨盤システムである股関節、恥骨結合、仙腸関節、腰仙関節の整合を図ります。また屈曲優位になってしまっている膝・股関節・各移行椎(腰仙関節、胸腰移行部、頸胸移行部)もチェックし施術する必要があります。

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これまでの状況は矢状面(横から見た身体)での問題ですが、前額面(背中から見た身体)でのS字やC字の歪みは骨盤や下肢での左右差による結果としてとらえ、捻り戻して治すわけではなく、その左右差を解消することで対応します。

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ここで骨盤帯、特に仙腸関節における仙骨の動き、歪みの発生機転を考えてみます。
仙腸関節は筋肉による自動運動は行わず、関節面と靭帯の形状により一定の動きを強要される関節で、仙骨は股関節を介した腸骨の動きにのみ受動的にきわめて小さい動きをします。
仙骨は立位での荷重軸足側ではうなずき運動、相対的に逆は起き上がり運動をします。また歩行時において踵接地期は最も荷重がかかるため、腸骨後方回転と仙骨うなずきによる靭帯性の安定機構が働き、前方への推進すべく立脚期中期では、腎筋や大腰筋など筋性の動的機構により腸骨は前方回転しながら仙骨は起き上がり運動を示します。こうした動きの中で、片寄った立位バランスや歩行の癖が、骨盤帯に一連の歪みを引き起こします。

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例えば左に重心をかけて立った場合、左の腸骨は股関節の内転を伴って後方に回転し、その側の仙骨はうなずきます。骨盤帯は、恥骨結合がクランク運動を伴いながら支点の作用をするため、仙腸関節において左右の腸骨はユニットで動き、右側は全く逆に変位することなり、右腸骨は前方に回転しながら外転し、仙骨は起き上がります。そのとき、左の股関節は内転筋の収縮を伴いながら荷重をかけ、内外腹斜筋などにも緊張を伴って、典型的なアンバランスが完成します。このとき、脊柱は一連のパターンでねじれながら上方に影響していき、最終的に頭を中心に戻し目線を平行にしようと上部頚椎が捻れることでアンバランスが完成します。ただしこれらの重力に対する歪みは筋・筋膜によって行われるため、頭に付着する筋肉は頭蓋骨をも歪ませてしまいます。
頭蓋骨の歪みは下顎骨の関節面をも歪ませるため、顎のずれや噛み合わせのずれまで引き起こします。

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以上のメカニズムの中で、外傷などがバランスを崩すきっかけになる場合が多く、歯科治療から噛み合わせのずれが起こり全身に影響するケースの他、頭をぶつける、足首の固着、内臓の機能低下による姿勢変化、仕事での座位姿勢、手の使いすぎによる筋膜の緊張、転倒による内臓への歪力など、身体バランスへ影響する原因は人によって様々です。

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身体のメカニズムは置性系・吊性系のバランスシステムの中で、様々な原因が元になり、またそれらが重なり合って症状を引き起こしているわけです。

治療は、足から整え骨盤システム(股関節・仙腸関節・恥骨結合・腰仙関節)を整えながら、原因となる元に対する施術をし、最終的には顎と上部頚椎へのアプローチとなります。では何故、顎と上部頚椎と仙腸関節が重要になるのか?
支点である仙腸関節もしくは上部頚椎が歪んでいれば、瞬時に復元するためのヤジロベエバランス機構が働かず、また仙腸関節の異常による全ての起居動作への影響や、上部頚椎の異常による脳への血流障害やうっ血による様々な疾患、そして顎ずれからくる頭蓋骨や首への悪影響などが考えられ、これらの異常は即座に身体の変調をきたすのです。

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特に頚椎弯曲異常や、上部頚椎異常で起こる小後頭直筋緊張による脳への慢性的な脳虚血状態は、原因が解明されていない本能性高血圧、糖尿病、甲状線機能障害、更年期障害(脳の栄養は動脈内の糖分でしかまかなえないため、脳下垂体から刺激ホルモンを分泌し、身体の変調をきたしてでも脳に血流を促し自らを守ろうとする)、不眠症やその他多くのアレルギー疾患の原因と考えられます。

また、脳うっ血状態は、胸鎖乳突筋の緊張による内頚静脈の圧迫による事が多く、頭蓋内血管の内圧が高まります。拍動性の強い頭痛はここに原因があり、片側の緊張は偏頭痛として現れます。筋の緊張は首の後ろの僧帽筋、頚板状筋、頭半棘筋にも及び、大後頭神経に作用し緊張性頭痛を生むことになります。
多くの病態は、これら脳における血流障害がもたらす弊害からくるケースが非常に多様な作用で現れている現象に過ぎません。

全身の重力バランスを整え、最終的に仙腸関節・上部頚椎・顎関節が整い全身の膜系統が整って、血液・リンパ・脳脊髄液そして気が流れれば、健康は回復します。